フリーランスや自由業などの個人事業主の方にとって、これらの時期、頭が痛いのが確定申告の準備ですよね。
レシートの整理から会計ソフトへの入力などなど、『もうこんな生産性のない作業なんてしたくないっ!』と思っている方は、たぶん私だけではないはず…。
下手すると1週間くらい本業そっちのけで申告の準備しなくてはいけないなんて、絶対なんか間違ってると思います(その時間を本業に回すべきです)。
確定申告を劇的にラクにする方法:
クラウド会計ソフトで確定申告をカンタンに:
そんな面倒な確定申告の準備を劇的に楽にしてくれる、今話題の『クラウド会計ソフト』をみなさんはご存知ですか?
クラウド会計ソフトとはインターネットを利用することで、記帳作業をできる限り自動化した会計用ソフトウェアのこと。
これらのソフトを利用すると銀行口座内の入出金やクレジットカードの利用明細書をそのまま勘定科目に自動仕分けしてくれるので、面倒な手入力の手間をかなり減らせるのです(引用元はこちら)。
確定申告を大幅に時間短縮
口座とのデータ連携で、作業がグッと少なく。銀行口座やクレジットカードから明細を自動で取得するので、面倒な入力作業が要りません。完全自動で登録させる事も可能です。
普通の会計ソフトとの違い:
では、クラウド会計ソフトと市販されている会計ソフトはどう違うのか?
これはざっくりと言うと、インターネットに繋がった状態で作業できるソフトと、繋がっていなくても作業できるソフトの違いのみ。
- クラウド会計ソフト:ネット接続が必要
- 従来の会計ソフト:ネット接続が不要
ただ一言にインターネットに接続できるといってもそのメリットは膨大で、前述のようにクレジットカード明細書と会計ソフトを連動させることが出来るのも、ネット接続が可能だからこそ。
結果、街でクレジットカード払いをするだけで「ダイソー 700円 雑費」とか、「紀伊國屋書店 1,500円 新聞図書費」、「JR東日本 9,800円 旅費交通費」といった経費項目が会計ソフト上に連携&表示されるようになるのです(下記はマネーフォワード クラウド確定申告の例)。
従来のソフトはすべて手入力:
反面、ネットに接続できない従来の市販ソフトの場合にはクレジットカード明細の中身を1つずつ、あなたが手入力していくしかない。これだとかなり作業効率が悪く、『面倒だな…』と感じてしまう方も多いと思います。
- クラウド会計ソフト:自動的に記帳してくれる
- 従来の会計ソフト:すべて自分で入力するしかない
こんな感じでクラウド会計ソフトを利用すれば、タクシー代730円を何度も記帳する必要性はありませんし、毎月かかってくる携帯料金やプロバイダ料金を都度都度、入力する必要性もなし。
一度設定すればあとは「NTTドコモ=携帯電話代」と自動で認識&処理してくれるので、会計処理にかける時間を大幅短縮することが可能なんです。
勘定科目も提案してくれる:
さらにクラウド会計ソフトでは、クレジットカードや電子マネーで支払った相手から勘定科目を推測し、自動提案してくれるサービスもあり(下記はマネーフォワード クラウド確定申告の例)。
たとえばJR東日本への支払いなら旅費交通費である可能性が高いとか、東京電力なら水道光熱費だろうとか、そういうのを自動的にクラウド会計ソフト側が推測して提案してくれるため、青色申告に不慣れな方でもラクラクと経理処理できてしまうメリットがあるんです。
また、クラウド会計ソフトでは、過去の入力履歴からの推測にも対応。
- 入力履歴なし:無名な取引先だと勘定科目候補が的外れ
- 入力履歴あり:過去の履歴から勘定科目が設定される
一度、勘定科目を設定すると、その後はその入力履歴から学習した勘定科目を提案してくれるようになるので、あまり知られてないサービスや取引先であっても記帳に手間取りません。
その他の利用メリットは?
その他、クラウド版の会計ソフトには下記のようなメリットが存在。
特に会計周りの法律というのは毎年、少しずつ変わっていってしまうものなので、そういった税制の変化にも対応できるクラウド会計ソフトは、経営者の方に必須のソフトになっていくことでしょう。
- 銀行口座と連動させると預金出納帳が自動作成
- 常に最新バージョンのソフトを利用できる(新しい税制に対応)
- 会社だけでなく外出先でも記帳作業が出来る
- スマホからでも作業可能
- パソコンが壊れてもデータが消えない
- パソコンの買い替えが楽
- 複数のパソコンから同時に作業可能
- オンラインでの作業なので、チャットで使い方を相談できる*1
私はもはや手放せません。
おすすめのクラウド会計ソフト3選:
ここまででクラウド会計ソフトの魅力がよくわかって貰えたところで、早速、おすすめのクラウド版の青色申告ソフトを3つほど紹介させてもらおうかと思います(この3つが有名&利用者が多い)。
これから確定申告の準備をはじめるという方はもちろん、今年から確定申告をするぞっ!と意気込んでいる方にもおすすめのものばかり…。どれも無料ではじめられるお試しサービスが設けられているので、気になったものがあればとりあえず使ってみて、導入するかどうかを比較&検討してみてください。
※有限会社や株式会社経営者の方は、法人向けのクラウド会計ソフトを解説したこちら記事をお読みいただければと思います。
freee(フリー):
現在、クラウド会計ソフトの最大手がfreee(フリー)。
その名前の通り、無料から使える会計ソフトとして高い人気があるだけでなく、機能やサービス面でも他を圧倒していると言われています。
とにかく初めてクラウド会計ソフトを利用するなら、とりあえずfreeeから試してみる…で問題ないでしょう。そのくらい利用者数が多く、知名度の高いサービスですよ。
やよいの青色申告オンライン:
次におすすめしたいのが、青色申告用の会計ソフトとして高いシェアを持つ、やよいの青色申告のクラウド版『やよいの青色申告オンライン』です。
クラウド会計ソフトにおけるシェアはfreeeに負けてしまいますが、青色申告全体における会計ソフトのシェアではこちらがダントツで一番。
昔からやよいの青色申告を使っている方は操作性も近いのでストレスなく使えると思います。
尚、こちらもお試し無料が用意されているので、まずは無料で使えるかどうかを確認してみてください。それで会計ソフト専門会社ならではの機能やサービスを活用できるはずですよ。
マネーフォワード クラウド確定申告:
最後がマネーフォワード クラウド確定申告(旧:MFクラウド確定申告)。
こちらは家計簿アプリとして人気のマネーフォーワード社が作っている確定申告用のクラウド会計ソフトなので、青色申告や確定申告だけでなく、家計簿も同時につけちゃいたい…という欲張りな方におすすめです(家計簿と青色申告の同時記帳可能です)。
freeeもやよいの青色申告オンラインもちょっと使いにくい…そんな方は、こちらも試してみてくださいね。
そのまま事業が大きくなれば、株式会社や有限会社の決算にも使えるマネーフォワード クラウドが利用可能ですよ。
私はMFクラウド確定申告を利用中:
私自身は現在、マネーフォワード クラウド確定申告を利用中。
試しにfreeeもやよいの青色申告オンラインも使ってみたんですが、freeeは初心者に優しい分、簿記知識がある人には若干煩わしく、やよいの青色申告オンラインはサービス開始直後だったので消費税関連の入力に未対応だった…というのがその選択理由ですね。言わば消去法のような形での選択となりました。
- freee(フリー):簿記知識がある方には煩わしい?
- MFクラウド確定申告:簿記知識がある方に使いやすい
ではMFクラウド確定申告の使い勝手はどうかというと、今や私にとって欠かせない会計ソフトで間違いなし。
他のクラウド会計ソフト同様、自動でクレジットカード利用歴を勘定科目として書き起こしてくれるので、いつでもどこでもカード払いをするだけで記帳完了するのは有り難い限りです。
また、Suicaなどの電子マネー利用歴まで拾ってくれるので、1枚のSuicaを仕事と私用の支出に分けることだって可能。引き続き、青色申告用に使い続けていきたいな…と思います。
クラウド会計ソフトに関するQ&A:
更にクラウド会計ソフトへの理解度を深めるためにも、クラウド会計ソフトに関連するよくある質問とその答えを書いておこうと思います。
これからクラウド会計ソフトを使おうとする方は是非、参考にしてみてください。
Q.導入するとどのくらい記帳は楽になる?
クラウド会計ソフトを導入すると、日々の記帳作業はどのくらい楽になるのか…というと、個人的な感覚では1/3以下には絶対になっています。
従来はクレジットカードの利用明細書を引っ張り出してきて、1件1件、手入力で日付、勘定科目、金額、摘要を入力していたんですが、クラウド会計ソフトを導入すれば1クリックでそのまま記帳が完了(カード明細書から金額や支払先を取り込んだ上で、自動的に勘定科目を選んで表示させてくるため)。
- 従来:手入力で金額、勘定科目、摘要、日付を入力
- 現在:表示された支払いが正しければ「登録」をクリック
気分的には1/5以下と思っていいレベルですね、ほんと。
とにかく確定申告にかける作業時間は何も生み出さない、事業にとって邪魔な時間でしかないので、みなさんもクラウド会計ソフトを使って無駄な時間削減を目指してみてください。
支払いにも気をつけている最近:
あと、クラウド会計ソフトを使い始めるようになってからは、経費の支払い方法も工夫するようになりました。
たとえば昔は現金払いしか使えないタクシーでも気にせず乗車していたものが、現在だとSuica払いが出来るタクシーを好んで利用するように。
この理由は単純で、現金払いの場合だとレシートをクラウド会計ソフト上にて手入力する必要性があるためです(Suica払いだと経費入力も自動化されるためカンタン)。
他にもクレジットカード払いが使えるお店では安い金額でも極力、カード払いを選ぶようになったことで、手入力で経費を記帳する作業が激減。
結果、前述のように従来の1/3以下の作業量で青色申告&確定申告ができるようになった感じがします。
Q.他にもクラウド会計ソフトってないの?
当記事では3つほどクラウド会計ソフトを紹介させていただきましたが、実際にはこの3つ以外にも複数のクラウド会計ソフトが存在します。
しかし、クラウド会計ソフトという分野自体ができたのはここ5~6年のこと。
そのため、自分にとって使いやすいソフトが他に存在する場合でも、利用者が少ないサービスを使ってしまうとそのうち淘汰されていってしまう可能性もあるので、個人的には今回紹介させていただいた3つを利用するのが無難かな…という気がします。
- 利用者の多いソフト:長く使える&サービス強化も
- 利用者が少ないソフト:サービス停止の可能性が大きい
よほどのことがない限り、これらのソフトがサービス終了をすることはありません。
人気の会計ソフトから利用するのがおすすめ:
そのため、まずはメジャーな会計ソフトから初めてみて、使い慣れてきたら自分にとって使いやすいものに乗り換えるくらいがおすすめ。
そのための無料版でもあるので、気になるクラウド会計ソフトがあったらお試し感覚で利用してみてください。
あと有限会社や株式会社向けのクラウド会計ソフトも若干、異なるので、法人企業経営者の方は下記記事も併せてどうぞ。
社員のマイナンバー管理等まで幅広く対応してくれる、口コミのいい会計ソフトを中心に紹介させてもらっています。
Q.クラウド会計ソフトのデメリットは?
クラウド会計ソフトにはもちろんデメリットも存在します。代表的なデメリット&問題点としては下記の通りですね。
- インターネットに接続できる環境じゃないと作業できない
- すべての機能を使うなら年間1~2万円くらいかかる
- 情報漏えいした場合のリスクが怖い
1番目は言うまでもなく、インターネットに接続できる状況下ではないと記帳作業や確認作業ができないこと。これについては昨今のネット事情であれば問題ない方が多いのではないでしょうか?
年間コストはやや高い状況:
2番目は年間利用コストがかかること。
すべての機能を使おうとすると、毎月1,000~1,500円前後の会費が発生してしまうのは、確かにオフラインで使える旧式なソフトウェアよりやや高いといえば高いです。
しかし、最新の税制を適用してくれたり、消費税率の変更を自動で行ってくれるなどは逐一、アップデートしてくれるクラウド会計ソフトならではの強み。
また、クラウド会計ソフトを使うことによって削減できる時間や手間を考えると、個人的にはこの金額でも安いくらいだなと思ってます(私の場合だと1ヶ月に10時間程度は記帳時間の削減ができる)。
漏洩リスクは怖いけどみんな一緒:
最後は銀行口座番号やパスワードなどの情報漏えいが起きてしまうリスクですが、これを言い始めたらもうどんなサービスも使えませんよね。
GoogleのGmailではパスワード情報のやりとりをするなとか、Dropboxには盗まれたくないデータを入れるな…という話だけでなく、更には銀行のネットバンクやオンライン証券口座は使うななどの、そういう話になってきてしまうだけなような気がします。
また、パソコンの中に入れている会計ソフトだったら安心かといえば、パソコンの盗難や紛失リスクがありますし、会社のサーバー内に保管してもハッキングの危険性だって充分にあります。要するに危険性は言い出したらキリがない…そういうことです。
尚、2022年現在、freeeなどのクラウド会計ソフトから会計情報が漏洩したことはないので安心ください。
加えてこれらのクラウド会計ソフトでは銀行のネットバンキング並のセキュリティ対策を講じているので、クラウド会計ソフトが漏洩するときはネットバンクも併せて漏洩するときかもしれません(そうなるとインターネット全体のセキュリティが崩壊しますね…)。
Q.WindowsだけでなくマックOSでも使える?
freeeやマネーフォワード クラウドなどはWindowsのOS(オペレーティングシステム)だけでなく、MacBook Airなどのパソコンからも利用できるのかといえばこれは問題なくYESです。
- Windowsパソコン:利用OK
- Mac(マッキントッシュ):利用OK
そもそもクラウド会計ソフトはOSに対応したパッケージソフトではないので、マックOSだろうがなんだろうがOSを問わずにどのパソコンからでも利用できるのですね。たぶんLinuxからでも問題なく使えます。
そのため、マック利用者の方でも安心してこれらのクラウド会計ソフトを利用ください(まずは無料版で使い勝手&動作確認を!)。
Q.やよいの青色申告から会計データ移行は簡単?
私はマネーフォワード クラウド確定申告を利用しているのでその体験談でしかありませんが、私がやった限りではやよいの青色申告からのデータ移行は驚くほど簡単でした。
マネーフォワード クラウド確定申告の場合には動画にてそのやり方が解説されているので、それを参考にしながら移行すればものの10分程度で移行は完了しましたね。
また、移行時には勘定科目のデータも併せて引っ越しできるので、その後のデータ入力においても不備なくスムーズにとりかかれる点も楽チンそのもの。
たぶんですがこういった利用者の多いパッケージソフトからのデータ移行については、やよいの青色申告オンラインやfreeeでも対応していることでしょう。
他の会計ソフトからのデータ移行もOK:
他の会計ソフトからのデータ移行に関しても同様です。
会計王、勘定奉行、JDL、PCA、財務応援、ミロクなどなど、データのエクスポート機能が使える会計ソフトからであればいくらでもそのままクラウド会計ソフトの中にデータ移行が可能。
更に言うのであればマネーフォワード クラウド確定申告からfreee、freeeから弥生の青色申告オンライン…といったように、クラウド会計ソフト間でのデータ移行もできるので安心してもらえればと思います。
Q.税理士に聞いたら「やめてくれ」と言われた:
クラウド会計ソフトを使おうと思っていることを担当している税理士に言ってみたら「使ったことがないからやめてくれ。サポート対象外だ。」と言われるケースも、世の中にはちらほらあるみたいですね。
税理士としてみれば普段から使い慣れているソフトで顧客対応をしたいという気持ちはよくわかりますが、私たち個人事業主からしてみればそんな理由だけで従来の古い記帳作業を続けるのは非効率。
そうであるならばいっそのこと、税理士を変えてみるのも手なんじゃないかと思います。
- 同じ税理士のまま:古い会計ソフトを使い続けるしかない
- 税理士を変更する:クラウド会計ソフトが利用できて経理を効率化できる
こう言ってしまってはアレですが、税理士なんてほんとたくさんいますからね、選択肢で困ることは稀です(税理士探しはこちらなどにて)。
クラウド会計ソフトでも税理士を紹介している:
また、マネーフォワード クラウド確定申告やfreee(フリー)では自社ソフトに精通している税理士を紹介するサービスも存在。
今お願いしている先生がどうしても会計ソフトを変えたくないと言っているならば、そういう選択肢も含めて検討してみてくださいね。
白色申告をしている方にもおすすめ:
青色申告ではなく、白色申告をしている…という方にもおすすめのクラウド会計ソフトは存在します。それが会計ソフト大手の弥生が提供している「やよいの白色申告オンライン」です。
こちらはその名前の通り、白色申告をしている事業者に適した会計ソフトになっているので、簿記の知識が乏しいとか、事業が小さいので白色で済ませたい…という方はこちらを選択するのがベスト。
従来よりもラクに白色申告できるようになりますよ。
確定申告はクラウド会計ソフトで簡単に:
ここまでおすすめのクラウド会計ソフトとよくある質問とその答えを紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
確定申告の準備はとんでもなく大変&知識が必要になる作業ですが、説明させていただいたとおり、クラウド会計ソフトを活用すれば時間の軽減が可能。
経理作業に時間をかけても本業の収益があがるわけではないので、これらの会計ソフトで賢く売上げアップを目指してみてくださいね。
以上、確定申告がラクになる、2022年のおすすめ会計ソフト3選!青色申告が必要な個人事業主は、これらのクラウド会計ソフトで経理業務削減を…という話題でした。
確定申告に関する参考リンク:
クラウド会計ソフトを活用するのであれば法人クレジットカードや法人ETCカードとの併用がとにかく便利。
業務の効率化をしたい経営者は下記記事も併せてどうぞ(事業専用のクレジットカードを作って、それで支払いをすれば記帳がラクになるということ)。
*1:私も過去、某有名会計ソフトのサポートセンターに電話をしたことがありますが、繋がるまでに10分以上かかるのはザラ。しかも、電話口だと質問内容を伝えるのが難しいことも多いので、明確な回答を貰うことが難しい状況がありました。その点、クラウド会計ソフトならチャット等で相談が出来るので、問題が起きている画面などをキャプチャして見てもらう…なんてことも可能ですよ。