今回はマネーフォワード クラウド会計、freee(フリー)、弥生会計オンラインといった、株式会社や有限会社などの法人向けクラウド会計ソフト3つを比較した記事を作ってみたいと思います。
どの会計ソフトを使うべきかで迷っている…という経営者の方は是非、この記事を読んでその参考にしてみてください。
導入すれば従来型の会計ソフトを利用していた時よりもきっと、経費にかける時間が1/3程度に圧縮できるはずですよ(おすすめのクラウド会計ソフトを紹介&よくある質問に答えている記事は下記を参照)。
クラウド会計ソフトの利用者数&シェア:
まず、クラウド会計ソフトを選ぶ上で重要な利用者数を比較してみたいと思います。
やはりこの先も継続して使っていくことを考えるなら、ある程度は利用者がいないとサービスそのものの存続性が疑われてしまうので、利用者数やシェアは高いに越したことがない数値だと言えますね。
freee(フリー):
クラウド会計ソフト業界最大手のfreee(フリー)を利用している事業者数は、freee公式発表で33万社以上とのこと。
過去には100万事業者突破…なんてプレスリリースを配信していましたが、これはまだfreeeの無料利用が出来る時のデータなので、無料利用できなくなった現時点では33万社というのが正確な数字になるようです(画像はこちらから)。
さすが業界の雄だけあって、凄い利用者数ですよね。
利用者が多いということはサービスの質も期待できる:
これほどの利用者がいれば、今後も安定したサービスや機能強化が期待できるはず。
後述するマネーフォワードや弥生会計の追い上げが凄いですが、freeeに追いつくにはもう少し…といったところですね。
それゆえ、『とにかく多くの人が利用しているクラウド会計ソフトを利用したい!』という方は、freeeで問題ありません。
マネーフォワード クラウド会計:
マネーフォワード クラウド会計(旧:MFクラウド会計)系の会計ソフト等を利用している方の総数は2022年現在、個人事業主と法人顧客をあわせて18万程度とのこと。
新規顧客獲得の加速により、課金事業者数は前年同期比で1.7倍のペースで増加
し、2021年11月末時点で、18.3万(うち、法人顧客が約8.8万)となりました。
毎年、順調に有料課金している事業者数は延びてるようです。
家計管理アプリも利用者急増中:
また、家計管理アプリとして人気のマネーフォワードMEの利用者数は現時点で1,200万人を突破(引用はこちら)。
2021年4月時点で、利用者数が1200万人を突破し、そのうち月額500円(税込)ですべての機能を利用できるプレミアム会員数は、30万人を突破しました。
有料会員となるプレミアム会員数も30万人を突破したとのことなので、マネーフォワードは会社全体で絶好調といった感じですね。
成長が止まるイメージが付きません。
弥生会計オンライン:
弥生会計オンラインは後発のクラウド会計ソフトですが、元々、会計ソフトといえば弥生会計…というくらいに浸透していたソフトウェア。
それゆえ、弥生株式会社発表の利用率データだと、競合のfreeeやマネーフォワード クラウド会計よりも高い利用率を誇っているようです(下記データは個人事業主向けの会計ソフト利用率)。
2016年から開始した同調査において、弥生は毎年50%以上のトップシェアを維持し、2022年調査では53.9%の利用シェアとなっています。
利用率は7年連続1位を継続中:
しかも弥生の会計ソフトは7年連続で1位を継続中。
前述のようにこれはあくまで個人事業主向けクラウド会計ソフトウェアの利用率推移でしかないこと、そして弥生株式会社発表のデータでしかないわけですけど、やはり弥生会計の人気は未だに高いことがわかります(パッケージ版ソフトも根強い人気がある)。
クラウド会計ソフト業界のシェアは:
これらの情報をまとめると、2022年現在のクラウド会計ソフトのシェアは正直、よくわからない感じ。
なにせ3社とも「うちが一番だ!」というデータを提示してますからね、なにをもって順位付けをしたらいいのか判断に悩みます。
ただ今後もこの3ソフトが中心になってクラウド会計ソフトが盛り上がっていくのは間違いなし。
他社が付け入る隙間はあまりないので、迷ったらこれら3つの中から好きなものを選べば良いと言えそうです(他の統計データは下記記事参照)。
クラウド会計ソフトの利用料金の比較:
次にマネーフォワード クラウド会計、freee(フリー)、弥生会計オンラインの3つの利用料金を比較してみたいと思います。
基本的にはどれも似たり寄ったりの金額で利用できるので、会計ソフト選びをするなら料金で選ばずに使い勝手で選んだほうがいいかもしれません。
利用開始に必要な入会金は?
まず、クラウド会計ソフトを利用開始するために必要な、契約金やソフト購入代金などについては3つとも0円です。
- マネーフォワード クラウド会計:入会金0円、販売価格0円
- freee(フリー):入会金0円、販売価格0円
- 弥生会計オンライン:入会金0円、販売価格0円
入会金、導入費、インストール料金などなど、いろいろな言い方があるこれらの言葉ですが、そのどれもが0円なので安心してテスト導入してもらえればと思います。
クラウド会計ソフトの月額料金比較:
ではこれらのクラウド会計ソフトを使う上で必要な費用にはどのようなものがあるのでしょうか?それは月額料金、これだけです。
だいたい3つとも1,000円弱から2,500円程度の月額料金が設定されているので、『月額負担は少ないほうがいい!』という方はfreeeを、ちょっと高くても安心がほしい方は弥生会計オンラインやマネーフォワード クラウド会計を選ぶようにしてください(下記表は2022年6月現在の料金)。
比較項目 | 対象 | 月払い | 年払い |
---|---|---|---|
マネーフォワード クラウド確定申告 | 個人 | 980円~1,280(税抜) | 9,600円~1万1,760円(税抜) |
マネーフォワード クラウド会計 | 法人 | 3,980~5,980円(税抜) | 3万5,760円~5万9,760円(税抜) |
freee | 個人 | 1,480~2,680円(税抜) | 1万1,760円~2万3,760円(税抜) |
法人 | 2,680~5,280円(税抜) | 2万3,760円~4万7,760円(税抜) | |
やよいの白色申告オンライン | 個人 | なし | 無料~9,200円(税抜) |
やよいの青色申告オンライン | 個人 | なし | 8,800円~1万3,800円(税抜) |
弥生会計オンライン | 法人 | なし | 2万6,000円~3万5,200円(税抜) |
いやいや、月額料金で会計ソフトを選びたくないと思うなら、自分の事業形態(個人事業主か法人か)で絞り込んだ上で、各クラウド会計ソフトの機能やサービスを比較してもらえればなと思います。
税理士指定の会計ソフトよりかなり安い:
このようにクラウド会計ソフトの利用料は、だいたい1年間利用で個人格なら1万円程度、株式会社や有限会社の経営者なら2~3万円程度かかるもの。
仮にパッケージ版のやおいの青色申告や弥生会計をバージョンアップしないで使っている方からすると、少し割高だなぁ…と思ってしまうかもですが、逆に税理士側が用意してくる会計ソフト(TKCや勘定奉行)の利用料金と比べると格段に安くなるかもしれません。
- パッケージ版を使っている方:割高に感じるかも
- 指定の会計ソフトを使ってる方:安く感じるはず
それゆえ、『とにかく私は価格重視でいきたい!』という方は、何年もアップデートしなくても使い続けることができる、パッケージ版の会計ソフトを購入するのもおすすめですね(税制が変わっても自分で対処できる方向け)。
白色申告をするなら弥生でOK:
今回紹介した法人向け&個人事業主向けのクラウド会計ソフト会社のうち、白色申告をしている方を対象にしたソフトを提供しているのは弥生のみです。
そのため、『自分の事業は小規模だから、ラクに確定申告できる白色でいい』という方は、こちらのソフトを使うのがおすすめ。
これならただでさえ楽な白色申告が、更にカンタンになりますよ(やよいの白色申告はサポート不要な方が利用すると年会費無料のまま利用できる)。
クラウド会計ソフトの評判&満足度:
最後にマネーフォワード クラウド会計、freee(フリー)、弥生会計オンラインの評判や利用者の満足度についての情報をまとめておきます。
ご覧いただければどれだけ多くの方がクラウド会計ソフトに満足しているかがわかりますよ。
freee(フリー)の評判&満足度:
最大手freeeの満足度についてはこちらのリリース通り。実に96%の方がfreeeを継続して利用し続けたいと回答しているようです。
【2015年確定申告期アンケート調査結果概要】
クラウド会計ソフト freee は1年に渡る確定申告向け機能改善の結果、大変多くのユーザーに満足頂き、96%もの方が来年もfreee を使いたいと考えていることが明らかになりました。
特に好評を頂いている点は「簡単さ」「手厚いサポート」で、チャットサポートの利用率は半数を超えています。
私も実際にfreeeに登録して利用してみましたが、クレジットカード明細や銀行帳簿との連携がスムーズに行くだけでなく、チャットサポートなどもすぐに返答が戻ってきたので好感触でした(freeeには無料版があるので、気になる方はダウンロードして試しにどうぞ)。
これだけのサポート&機能があれば確かにほぼ100%の人が継続利用したいと答えるのも納得ですね。
サポートの満足度も高い:
加えてfreeeはサポート体制の満足度も高め。
2018年7~8月の調査だと92.2%もの方が満足していると回答しているので、問い合わせをしてもなかなか返信が戻ってこない…ということもないでしょう。
確定申告等の会計処理に不安がある方向けと言えます。
マネーフォワード クラウド会計の評判など:
マネーフォワード クラウド会計やマネーフォワード クラウド確定申告の満足度に関する統計データはこちらの公式リリースを参考に。
企業向けの会計ソフトであるマネーフォワード クラウド会計の満足度は下記の通り82%と、非常に高めの数値が出ている状況です(継続利用したい方は91%にもなる)。
『MFクラウド会計』を引き続き使いたいかという質問に対し、「とても思う」「ややそう思う」と回答したのは合わせて91%で、『MFクラウド会計』の満足度に関しては、「満足している」「やや満足している」と回答したのは合わせて82%でした。
また、『MFクラウド会計』を利用してみて経営改善を実感したかという質問に対し、「そう思う」「ややそう思う」と回答したのは合わせて65%という結果になりました。
個人向けのマネーフォワード クラウド確定申告も同様:
また、個人向けのクラウド会計ソフトである「マネーフォワード クラウド確定申告」の評判も良好そのもの。
こちらも満足度は85%と多くの方から支持されている…という結果となりました(継続利用したい方は全体の91%)。
『MFクラウド確定申告』を引き続き使いたいかという質問に対し、「とても思う」「ややそう思う」と回答したのは合わせて91%で、『MFクラウド確定申告』の満足度に関しては、「満足している」「やや満足している」と回答したのは合わせて85%でした。
また、『MFクラウド確定申告』を利用してみて経営改善を実感したかという質問に対し、「そう思う」「ややそう思う」と回答したのは合わせて65%という結果になりました。
これだけ口コミが良い状況であれば不安に感じることはないと思います。
弥生会計オンラインの満足度:
弥生会計オンラインややよいの青色申告オンラインの満足度については、現状ではサービス開始直後ということもあり明確な統計データは存在しないようです。
ただ弥生といえばパッケージ版の会計ソフトの雄。
ここのソフトの満足度が低いということは通常では考えられないので、ブランドや歴史を大事にするという方はこちらを選択するのがおすすめかもしれません。
サポートセンターの満足度は高い:
ちなみに唯一見つけることが出来た統計データとしては、弥生会計のカスタマーサポートにおける満足度です(こちらより引用)。
弥生カスタマーセンターでは年間100万件を超えるお問い合わせに対応。全体の94%にご満足いただくことができました。
これを見る限りカスタマーサポートの満足度は異常なまでに高いといえるので、仮に弥生会計オンラインややよいの青色申告オンラインなどで使い方がわからなくなった時のサポートについては安心しても良さそうな感じですね。
なぜここまで満足度が高いのか?
freeeやマネーフォワード クラウド会計といったクラウド会計ソフトはなぜ、ここまで満足度が高いのでしょうか?
これはマネーフォワード クラウド会計のアンケート結果のひとつ、「金融関連サービス自動取得機能に対する満足度」が98.4%もある点が、その理由になりそうな気がします。
やはり従来の会計ソフトは経費支出を1つ1つ、手入力していかなくてはいけなかったものが、クラウド会計ソフトであれば自動で入力が終了してしまうことが大きい模様。
私の中でもこの機能に対する満足度がとにかく高いので、結果としてこんなにも高い満足度に繋がったのでしょう。
クラウド会計ソフトのQ&A:
ここで参考までにクラウド会計ソフトを比較する上で役立つQ&Aを作ってみました。もっと詳しく知りたい…という方は是非、参考にしてみてください。
Q.正直、どれが一番おすすめ?
freee、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計オンラインのどれが一番おすすめか?個人的な見解を言わせていただくと、私はマネーフォワード クラウド会計が一番いいかな…と思っています。
理由としてはfreeeは少し、会計知識がある方には優しすぎる使い勝手になっている点、弥生会計オンラインはまだオンラインサービス自体がはじまって日が浅いという点がネックになっているように感じました。
その点、マネーフォワード クラウド会計は株式会社や有限会社といった企業会計にのみ特化した会計ソフト。
税の知識が豊富な経理担当者にとってはシンプルなほうが使いやすいはずなので、こちらを推したいなと思います。
Q.月額会費を払ってまで使う価値はある?
月額の会費を払ってまでクラウド会計ソフトに乗り換える価値があるかといえば、これはもう絶対にあります。
なぜなら経費等の入力を自動化することができれば、経理担当者の人件費を削減することが可能になるため。
会社経営において一番高い支出は言うまでもなく人件費なので、その人件費をすこしでも減らせる可能性があるからどんどん月額会費を払っていくべきだと私は思います。
ソフト導入で人件費削減できた会社も:
実際、クラウド会計ソフトを導入したら記帳作業が一気に減り、経理担当者を減らすことが出来た…という企業も多い模様。
小さな株式会社であれば経理業務を担う社員を雇わずに社長ひとりで記帳まで済ませてしまえるので、会社経営の立て直しにもクラウド会計ソフトは役立ちますよ。
Q.税理士が導入を嫌がるんだけど?
自社の顧問税理士がマネーフォワード クラウド会計やfreeeを導入するのに反対している…というケースも多いみたいですね。
彼らにとってはTKC、勘定奉行、JDLといったソフトウェアを税理士事務所を通して使ってもらうほうが収入が多い…ということもありますが、それ以外にも単純にクラウド会計ソフトの使い方がわからないこともありそうな感じ。
特に50代、60代といった世代の税理士&公認会計士だと新しいソフトの使い方を覚えるのはひと苦労なので、使い慣れた会計ソフトを使い続けてほしいという意向があるのでしょう。
税理士のために時間を無駄使いする必要性はない:
しかしだからといってクラウド会計ソフトの利用を諦めるのはまた違いますよね。
いわば税理士のために無駄な時間を使うことになってしまっては本末転倒なので、もし自社が委託している税理士がこういったソフトへの切り替えに対応できないなら思い切って税理士の変更も視野にいれてみてください(税理士探しはこちらなどで)。
- 税理士を変えない場合:従来の面倒なソフトを使い続けることに
- 税理士を変える:経理業務が一気に合理化し、経理担当の人件費も削減
加えてJDL、TKC、勘定奉行といったソフトはクラウド会計ソフトよりも月額費用が圧倒的に高いものなので、そういった意味でも会社経費の削減につながりますよ。
経理担当の社員を減らせれば、年間400~500万円以上の固定費削減も夢ではありません。
クラウド会計ソフトで経理負担を減らそう:
ここまでマネーフォワード クラウド会計、freee(フリー)、弥生会計オンラインの3つを比較してきましたがいかがでしたでしょうか?
クラウド会計ソフトの導入に際しては下記の記事も参考になるので、併せて目を通してみてくださいね。
以上、MFクラウド会計、freee、弥生会計オンラインのどれがおすすめ?シェアや利用料金等で人気のクラウド会計ソフトを比較してみた…という記事でした。
参考リンク:
クラウド会計ソフトを使うのであれば、法人向けのクレジットカードとの相性もバツグンです。
支払いをどんどん現金払いからカード払いに切り替えて、経費入力作業を劇的に楽にしてもらえればなと思います(法人カードについては下記記事参照)。