最近、知人&友人から『えっ、それだけ売上あって税理士つけてないの?』と驚かれることが多い私。
個人的には逆になぜ、売上規模が大きいと税理士を付けなくちゃいけないの?と質問したくなるところなんですが、一般的な感覚で言えばおかしいのは私の考え方のほうなのでしょう(苦笑)
そこで今回は雑談がてら、私が顧問税理士を付けていない理由についてまとめてみたいと思います。
税理士に顧問をお願いすべきか悩んでいる方はもちろん、すでに税理士の方に依頼をしているというフリーランスの方にも、この記事を参考にしてもらえれば幸いです。
私が顧問税理士を不要だと思う理由:
1.自分で記帳作業&青色申告できる
私が税理士を不要だと思う理由、1つ目は『税理士に都度都度聞かなくても、記帳作業や青色申告くらい自分で出来るという点』です。
これはもう長年の経験がモノを言うところではあるんですが、仮に私が完全に知識がない状況でも、個人事業主の勘定科目くらい5時間も勉強すれば誰でもわかるものだと思うんですよね。
一度覚えてしまえば記帳作業で悩むことなんて滅多になくなります(こちらの手引書等を利用すればすぐわかる)。
また、青色申告&確定申告のやり方も、税務署に行けば丁寧にやり方を教えてくれるので税理士いらず。
- 間違い:記帳方法を教わるために税理士を付ける
- 正解:やり方がわからないなら税務署に聞く
わざわざ税理士を付けなくても、自力で出来ることばかりです。
勘定科目だって一環してればどれでもOK:
こう書くと『いやいや、たとえばホームセンターで仕事部屋の観葉植物を買った時の勘定科目はなにかわからないんだから、税理士に聞ける環境があるのは重要だろ?』みたいなことを言われる方もいるんですが、極論を言ってしまうなら勘定科目なんてなんでもいいんですよ。
たとえば取引先とお酒を飲む費用は一般的には「接待交際費」で間違いないのですが、上場企業の中には接待交際費としてではなく「システムを開発するために必要な打ち合わせだったからこれは開発費だ」なんて計上の仕方をしているところもあるくらい。
他にも少額だったら会議費にしちゃうとか、電通さんとの打ち合わせなら宣伝広告費にしちゃうとか、まぁみなさん結構いい加減なもんなんですよ*1。
- 広告の打ち合わせで飲み会:宣伝広告費
- システム開発のための飲み会:開発費
- 立ち飲み屋で打ち合わせ:会議費
そしてそれに対して税務署がうるさいことを言うかといえばそんなこともなく、ちゃんと経費として使った履歴が残っているなら接待交際費だろうが会議費だろうが開発費だろうが認められます(もちろん程度によります)。
勘定科目にブレがなければ大丈夫:
他にも来客用のお茶代は福利厚生費なのか、それとも会議費や接待交際費なのか…微妙なところも多いですが、こんなものも一括でテキトーな勘定科目を選んで計上しておけばOK。
大事なのは都度都度、違う勘定科目を付けるのではなく、一環して同じ勘定科目を付け続けることなので、それさえ徹底していれば勘定科目はどれを選んでも問題ありません。
- 問題になるかも:同じ経費を都度都度、別の勘定科目にする
- 問題にならない:同じ経費は一環して同じ勘定科目にする
さらには自分の中でおバカな勘違いをして、『お茶は消耗するものだから、勘定科目は消耗品だ…』なんて計上の仕方をしてても大丈夫。
間違いなく税務調査の際に指摘されるかもですが、個人事業主ならその後の記帳方法を改めればそれでお咎めなしです(勘定科目を間違えるのは脱税ではないため)。
2.税理士の「立場」を尊重するのが大変
私が顧問税理士を不要だと思う理由、2つ目は税理士にも立場があるという点。
たとえば私自身がこれはどう考えても経費だろ…と思うものがあったとしても、税理士側が『それを経費に計上することは認められない!それを経費にしたいなら顧問税理士としてハンコを押せないよ。』なんて問答になることも多いんです。
税理士が否認する場合は経費にできない?
これについては『えっ、税理士が経費にできないと言ってるんだから、経費には出来ないんじゃないの?』なんて思うかもしれませんが、税理士だってただの人間。
時には間違った指摘をしてくる場合もありますし、税務調査の際に自分の立場が危うくなるような経費は極力通したくないものなんですよね。
なにせ税務署からの心象を悪くしてしまうと、税理士としての業務に支障をきたしてしまう場合があるから尚更です。
- 税理士の立場からすると:
自分が顧問を務めている以上、否認されそうな経費は付けさせたくない。変な経費が計上されていると、税務調査の際に自分の立場が危うくなる。 - 事業主の立場からすると:
経費として認められる可能性がある以上、否認されそうな経費でも付けたい。
無難に業務を遂行したい税理士は多い:
加えて元税務署職員の税理士の場合には、私たち個人事業主側を向くのではなく、常に税務署側を向いて指摘をしてくる人だっています。
運悪くこういう方にあたると微妙な経費の記帳の計上はすべて許されないので、ほんとうは経費にできるのに顧問税理士を付けているあまりに計上できないものが出てくるのですね。
- 税理士なし:自分が経費だと思うものを計上できる
- 税理士あり:自分&税理士の双方が納得しないと経費を計上できない
こんなふうに税理士の立場を考慮するあまりに納税額が増えてしまうことになれば、なんのために顧問を依頼しているのかわかりません(経費にできるかどうかは下記書籍なども参考になる)。
3.顧問料がもったいない
私が顧問税理士を不要だと思う理由3つ目は、顧問料がもったいない…という単純な理由です。
これは交渉次第で月1万5,000円とか2万円とかにすることも出来るし、確定申告シーズンのみの顧問で年間3万円とかに抑えることも出来るかもしれませんが、そこまでして税理士に名前を貸してもらうことに意味があるのか疑問。
前述のように税理士の立場をたてると経費にしたいものが経費に出来なくなるので、お金を払う必要性を感じない…というのが率直なところです。
比較項目 | 年間にかかる費用 |
---|---|
一般的な顧問料 | 月3万円+申告で年50万円弱 |
安い税理士の顧問料 | 月1万5,000円+申告で年20万円前後 |
確定申告のみ依頼 | 年3~5万円程度 |
また、『記帳作業を全部、税理士に丸投げしちゃえばいいじゃん』みたいなことも言われることありますが、これも売上高が大きい私のビジネスだと割高になってしまうので、月100個くらいの経費計上なら自分でやってしまうほうが総合的にお得…という判断になりました*2。
顧問についてるだけ税務調査が来ない?
ちなみに。
税理士に顧問を依頼しているだけで税務調査が来にくい…なんて言われることもありますが、これも私の売上高を考えるとあんまり関係ないかもなと(顧問税理士がいるいないに限らず、税務調査が来る時は来るということ)。
それに税務調査に来られたくないために年間30~50万円も払うのは「保険代」としてはかなり割高に思うので、そんなものに費用を払うくらいなら税務調査に来られても問題がないようにしておいたほうがいいかなと思います。
- 税務調査に来てほしくないから税理士をつける:年間50万円前後の出費
- 税務調査に来られてもいいようにしておく:年50万円の出費は不要(修正申告をすることになったとしても、税務調査が来なかった年数×50万円ほどの納税にならないことが多い)
税務調査など恐れることはありません。
4.税務調査と戦うのは自分:
私が税理士に顧問を依頼していない理由その4は、税務調査が来ても結局、戦うのは自分だという点。
『いやいや、税理士に顧問をお願いしていれば、税務調査の対応はしてもらえるんじゃないの?』と思われるかもしれませんが、しっかり税務署側と戦ってくれる税理士は半数もいないんじゃないんでしょうか。
むしろ前述のような税務署側のほうを向いている税理士、自分の立場を考えて修正申告を言われるがままに受け入れる税理士などなどのほうが圧倒的に多いはず。
そりゃ税理士の立場からすると1事業主のために管轄の税務署から悪印象を持たれるのは得策ではないですからね。
- 事業主側のイメージ:
税理士は税務調査から私たちを守ってくれる - 実際のところ:
税理士だって人間なので、1事業者のためだけに税務署を敵に回したくない(事業主が経費だと思っていても修正申告しろと諭してくる)
私たち事業主を必ず守ってくれるとは限りません。
滅多に来ない税理士にわかるわけもない:
また、多くの会計事務所では毎月の月次処理を税理士本人ではなく、見習いの社員にまかせているところがほとんど。
下手すると当人と会うのは年1回あればいいほう…なんてことも多いので、そんな税理士が税務調査だからといってしゃしゃり出てきても内情を詳しく理解していないほうが普通なんですよね。
結果、税務調査中に『○○さん、この費用はなんの費用ですかね?』『えっ、そんな費用を計上しちゃってるんですか、なるほど。それは税務署側のいうとおりに修正申告に応じたほうがいいかもしれませんね。』みたいな会話になる。
こんな状況になるくらいなら、最初から自分で税務署と戦ってしまったほうが何倍もラクに感じてしまうのは、私だけではないことでしょう。
ひとりなら修正申告に応じる必要性がない:
加えてもうひとつ。
税務調査で記帳した経費を税務署側に指摘されると修正申告を迫られるのですが、この場合、修正申告に応じるかどうかは自分次第。
要するに『税務署は経費じゃないっていうけど、これは立派な経費だよ。俺は経費だと思う!』と主張し続けることは出来ます。
- 税務署側の言うとおり経費じゃないと認める:修正申告に応じる
- 税務署側はそう言うけど、経費だと思う:修正申告に応じない
しかし、前述のように税理士に顧問を依頼していると、税理士側の立場を考えて修正申告に応じなくちゃいけない場合もありますよね。
『自分は経費だと思うけど、税理士さんがそんなにも言うなら…』と泣く泣く修正申告を受け入れる時だってあると思います。
反面、税理士を付けていなければ、自分の主義主張をそのまま言い続けることが出来るという強みあり。
まぁ明らかに経費でもなんでもないのに経費と主張するようなことや、通例上、これは認められないだろう…みたいなものまで主張しつづけていたら税務署から更正請求されることになってしまいますが、微妙なものまですべて修正申告に応じる必要性はないので、自分ひとりで対応したほうが個人的にはメリットがあるなと思ってます(詳しくは下記記事などにて)。
5.好きな会計ソフトを使いたい
私が税理士に顧問を依頼したくない理由その5は、下記のMFクラウド確定申告というクラウド会計ソフトを使いたいというものです。
『そんなの税理士に顧問になってもらった上で、勝手に使えばいいんじゃないの?』と思われるかもしれませんが、多くの税理士は管理をしやすくするために会計ソフトを指定してくるもの。
たとえばテレビCMが放送されているTKCやJDL、勘定奉行などのような会計ソフトへの切り替えを促されることのほうが多いので、これが個人的には嫌なんです。
ソフト代を請求してくることも多い:
また、そういった税理士御用達の会計ソフトというのは、月額料金がかかるというのもネック。
クラウド会計ソフトを利用すれば月1,000円くらいで済むのに、会計事務所指定の会計ソフトを利用すると月に5,000円~2万弱の費用が必要になるなんてちょっとどころか凄く馬鹿らしいなと思ってしまいます。
しかも当然ながらその会計ソフト利用料の一部は税理士の収入になるので、会計ソフト指定は一種の顧問料みたいなものと考えることも出来るでしょう(クラウド会計ソフトを使うとどれだけ記帳作業がラクになるかは下記記事にて)。
6.売上等を極力、秘密にしたい
税理士を使いたくない理由、最後は「守秘義務の甘さ」ですね。
私の知人にも税理士や税理士見習いの方が多くいますが、彼らはまぁ顧問先の情報をよくしゃべる(苦笑)
一応、ある程度はボカしてはいるものの、飲み会の席などでは『ああ、あの企業ね…』という風な情報をよく教えてくれるので、守秘義務なんてあってないようなもんだなと思えてしまうのがネックです。
- 税理士をつける:税理士経由で売上等の情報が漏れる
- 税理士をつけない:うちの売上がバレない
まぁ税理士だけでなく税務署の人たちの口の軽さもまた問題なので、税理士をつけようがつけまいが漏れるところからは漏れてるとは思うんですけど、税理士をつけて自社の情報が漏れるなんて悲惨なことだけは避けたいなと思ってます*3。
税理士を付けると営業も多い:
税理士に依頼する隠れたデメリットとしては、生命保険の勧誘が激しい点ですね。
『御社は今、このくらいの税金を納めてますけど、こんなに納税するのはもったいない!こちらの大○生命の生命保険に加入して、保険金を損金にしちゃいましょう!5年後以降に解約すれば掛け金が全部戻ってきますよ。』みたいな節税策(?)を提案される時間が個人的にはもったいない。
しかもそんな時に限って普段は見習いしか来ないのに、税理士本人が帯同してきたりするから苦労します(そんな時間があるなら事業をすこしでも大きくするために時間を使ったほうが有意義)。
すべての条件を満たす税理士は少数:
ここまで私が顧問税理士を不要だと思う理由をまとめさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
この先もし、私が経費だと思う費用をすべて付けさせてくれて、税理士本人が毎月しっかり面談に来てくれて、税務調査の際は引かずに戦ってくれて、MFクラウド会計ソフトをそのまま利用できて、守秘義務を100%守ってくれて、小金儲けのために生命保険を勧誘してこない税理士の方が現れ、しかも年間20万くらいで顧問になってくるようならお願いしちゃうかもしれません(下記サービス等で税理士は比較可能)。
ただ、そんな理想的な方を探すほうが大変なので、私は引き続き、顧問税理士を付けずに個人事業を続けていこうと思ってます。
個人事業主のままでいる理由について:
尚、私が売上高が大きいのに個人事業主のままでいる理由については下記記事もあわせてどうぞ。
一般的な常識でいうとこちらも「法人成りしたほうがいい」ものですが、この先も法人税や消費税に変化がないなら常識にとらわれず、個人事業主でいるつもりです。
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アフィリエイターは法人成りすると節税できるのか?について、自分の意見を書いてみる。私がなぜ事業の法人化に踏み切れないのか。
アフィリエイターの法人成りは節税になるのか…その後について。結局、個人事業主のままのほうが有利だという結論になりそうです。
以上、私が顧問税理士を不要だと思う6つの理由まとめ!個人事業主なら税理士を付けず、自分で青色申告&確定申告をするのもひとつの手です…という話題でした。
参考リンク:
最近では個人事業主でも法人向けのクレジットカードを作れる時代になりました。経費の支払いをこのカードにまとめれば、記帳作業がグンと楽になりますよ。
*1:この「飲み代をどの勘定科目にするのか?」については接待交際費として計上したくない大企業ならではの事情があるから…ですが、伝えたいのはこんなふうに勘定科目には100%これだという正解がないということですね。
*2:私のビジネスは売上高が大きいので、どの税理士さんも月額3万円未満の金額は提示してくれません。それどころか月額5万、6万という顧問料を請求してくる方もいるくらいなので、月1万、2万での依頼は難しいのかなと思ってます(レシートの打ち込み代行を含め、年商が大きいと税理士はリスクを恐れて慎重になる)。
*3:税務署に確定申告をしにいくと、その場で大きな声をだして「○万円も売上があるんですか!」と言ったりするので、彼らの守秘意識については文句を言いたくなる時があります。銀行員やクレジットカード社員が有名人や芸能人の貯金&利用場所を見るのを禁止されてるように、税務署でも署員教育を徹底してほしいです。